行事・風習

Christmas – アメリカンホリデーとその起源

投稿日:2023-12-16 更新日:

クリスマス
毎年12月25日に祝われる、宗教的な祝日でありコマーシャルなイベントでもあるクリスマス。
キリスト教徒がイエス・キリストの誕生を祝う日で、家族で集まり教会に出席し、プレゼントを交換しあう幸せな祝日でもあります。

このシーズンになるとアメリカの各都市では、クリスマス・キャロルが公共の場で歌われ、きらびやかなイルミネーションや装飾で街が輝きます。Washington, D.C.のホワイトハウス前の広場では、毎年恒例のアメリカ大統領によるクリスマスツリーライトの点灯式が行われ、国民に挨拶を送ります。

クリスマスは、どうやって始まったの?

クリスマスの起源は、古代ヨーロッパの人々の生活と関連があります。
ヨーロッパの人々にとって、12月の冬至シーズンはお祝いにはぴったりの時期で、古くから多くの民族が新鮮な肉と、その年に熟したばかりのワインやビールなどを楽しみながら喜びを分かち合ったそうです。

北欧のスカンジナビア地域では、このような冬至のお祝いは「Yule」(ユール)と呼ばれ、キリスト教が伝わる前から行われていました。Yuleでは、人々は太陽の復活を祝うため、家に持ち帰った大きな丸太に火を着けて、その丸太が燃え尽きるまでごちそうを食べて過ごしました。

また、古代ローマには「Saturnalia」(サトゥルナーリア祭)と呼ばれる、彼ら独自の冬至のお祭りがありました。農耕の神であるサトゥルヌス(英語名はSaturn)を祭り、沢山の食べ物やお酒で祝い、どの階級の人でも参加できるお祭りでした。

一方、キリスト教は初期の頃はEasterが主な祝日であり、イエス・キリストの誕生は祝われていませんでしたが、4世紀頃になると、教皇ユリウス1世はイエス・キリストの誕生日を祝日にして、12月25日と制定しました。キリスト教会がこの日を選んだのは、異教であったローマのサトゥルナーリア祭の伝統を取り入れて、クリスチャナイズしようとしたのではないかと考えられています。後にこの風習は、エジプトやイギリスなど異国にも広まっていきます。

キリスト教は中世になるとさらに勢力を増し、ヨーロッパの古い異教に取って代わり続けました。12月25日になると、ゴシック様式の大聖堂に招かれた信者たちはキリストのミサ(Christ’s mass)に与り、後にこのChrist’s massから「Christmas」と呼ばれるようになります。

クリスマスを祝わなかったピューリタン (Pilgrims)

puritans

Puritans in Massachusetts


1620年にメイフラワー号でアメリカ大陸に渡ったピルグリム達は、正統的なピューリタンの信仰を持っていた為、聖書に記述のないクリスマスは祝日としていませんでした。1659年から1681年頃まで、ボストンではクリスマスを祝うことすら禁止されていたそうです。

面白いのはBostonのピューリタンとは対照的に、先にVirginiaのジェームズタウンに入植していたイギリス人はどうやらクリスマスを祝っていたようで、新天地アメリカで最初にエッグノッグを飲んでお祝いをしていたのは彼らだったと言われています。

そしてアメリカ独立後、1870年にクリスマスが連邦政府の祝日になりました。

サンタクロースはどこから来たの?

初期のクリスマスには、サンタクロースという人物はいませんでした。あの白いアゴ髭を生やし、赤い服を着ている老人はどこからやって来たのでしょう?

St. Nicholas

サンタクロースの基になった人物は、St. Nicholasという修道士で、現在のトルコにあったMyraという古代都市に住んでいました。彼は生前、フード付きの赤いローブを着て、貧しい家庭の恵まれない子供達の家を訪れて、衣服や食べ物を置いて行ったことから、世界中で崇拝されている聖人の1人となりました。

St. Nicholasの伝説は、18世紀にアメリカにも渡りました。
オランダ系の人々からは、St. Nicholasはオランダ語のニックネームで「Sinter Klaas」と呼ばれ親しまれてきました。

そして、1809年に作家のWashington Irvingが「A History of New York」という著書を出版し、このニッカーボッカー紹介本に掲載されていた「Sinter Klaas」の話が広まり、アメリカで一躍有名になりました。

この本によって、よりアメリカナイズされた名前のSanta Claus(サンタクロース)がアメリカに定着するきっかけにもなりました。聖ニコラウスの愛に満ちた贈り物をする伝統は、現在でも受け継がれています。







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