2015年3月にこの世を去った、ロンドン出身のベーシスト、兼ソングライターの アンディフレイザー (Andy Fraser)。1960年代に彼が Free というバンドにジョインしてベーシストとして音楽活動を始めた頃、まだ15歳だったというから驚きです。この多才なアーティストによる楽曲で “Every Kinda People” (愛しき人々) という歌があります。
そう、あの有名なイギリス人歌手、ロバートパーマー (Robert Palmer) による、言わずと知れた大ヒットソングで、アメリカではアルバムから、1978年に最初にヒットしました。
カリビアンのミッドテンポの曲調でありながら、メロウなヴォーカルが印象的なこの曲は、「様々な種類の人間が共存して、世の中が廻っているんだよ。それぞれ見た目は違えど(人種は違うけど)、人間としての中身は一緒なんだよ…」といった内容の詩で、人種や民族文化の偏見をなくそう、と改めて認識させられる歌でもあります。
この歌の内容、「It takes every kinda people, to make the world go round」は、作詞した本人、フレイザー氏自身のバックグラウンドも含まれています。生前、彼はゲイでしたが80年代中頃まで公表することはありませんでした。今とは違い、80年代はLGBTに対する偏見や差別が多かった時代です。おそらく彼はゲイである自分を隠し続け、長いあいだ思い悩み、苦しんだことと思います。
後に世間にカミングアウトした彼は、とても大きな達成だったと語っています。そして、世の中の人種やLGBTに対する偏見が少なくなり、よりマルチカルチュラルにシフトした文化には、彼の書いたメッセージが少なくとも貢献しているはずです。
多くの差別が問題になる中、いまいちどこの曲を思い出してみてはいかがでしょうか。